1. はじめに:なぜ今、SNS依存が問題なのか
神奈川県の国立病院機構久里浜医療センターが発表した調査によると、SNSの利用について依存性が高い「病的使用」が疑われる人は、10~20歳代で6%に上ることが分かりました。人口に換算すると約140万人規模です。
他の年代が0~1%台にとどまっていることを考えると、若年層で突出して高い数値であり、決して見過ごせない現状だと言えるでしょう。
■ SNSは生活インフラになっている
今やSNSは単なる娯楽ではありません。
- 友人との連絡手段
- 最新ニュースのチェック
- 動画視聴や情報収集
- 自己表現の場
若い世代にとっては「使うのが当たり前」の存在です。
しかしその一方で、
- やめたいのにやめられない
- 使えないとイライラする
- 気づいたら何時間も経っている
といった状態に陥る人も増えています。
■ 若年層に起きている深刻な影響
今回の調査では、病的使用が疑われる人の中に次のような傾向が見られました。
- 家族とのトラブル
- 長期欠席
- 引きこもり状態
10代・20代は、進学や就職、人間関係づくりなど、人生の土台を築く重要な時期です。その時期に生活リズムが崩れ、対人関係に悪影響が出ることは、大きな問題といえます。
■ なぜ今、依存が加速しているのか
背景には、スマートフォンの普及があります。
- 24時間いつでも使える
- 通知が頻繁に届く
- 無限スクロールで終わりがない
こうした設計により、利用時間は自然と長くなります。若い世代はこの環境の中で育ってきたため、依存リスクと常に隣り合わせの状態にあるのです。
SNS自体は便利で有益なツールです。問題なのは「使い方」です。
若年層の6%、約140万人という数字は、私たちに警鐘を鳴らしています。本記事では、この調査結果をもとに、SNS依存の実態と背景、そして具体的な対策について詳しく考えていきます。
2. 調査を実施した機関とその信頼性
今回の調査をまとめたのは、神奈川県にある国立病院機構久里浜医療センターです。
この医療センターは、アルコール依存症やギャンブル依存症など、さまざまな依存症治療の専門機関として知られています。日本における依存症研究の中核的な存在であり、医療・研究の両面から長年取り組んできた実績があります。
そのため、今回のSNS利用に関する調査も、単なるアンケートではなく、専門的な知見をもとに実施されたものといえます。
■ 調査の概要
今回の調査は、厚生労働省の依存症対策事業の一環として行われました。
調査方法は以下の通りです。
- 無作為抽出された9,000人に郵送
- 10~80歳の男女が対象
- 有効回答数は4,650人
特定の属性に偏らないよう「無作為抽出」が行われている点は、信頼性を高める重要なポイントです。
■ 「病的使用」はどう判断されたのか?
SNS依存には、現時点で正式な病名はありません。
そのため今回の調査では、海外で使用されている依存尺度を参考に、次のような9項目で評価されました。
- 使えないと気分が悪くなる
- 嫌な気持ちから逃れるために利用していた
- やめようとしてもやめられなかった
- 利用時間を減らそうとして失敗した
などです。
これらのうち、5項目以上に該当した場合を「病的使用の疑い」と判定しています。
■ なぜこの調査は重要なのか
今回の調査が注目される理由は、大きく3つあります。
- 国の事業として実施されていること
- 専門医療機関が分析していること
- 幅広い年代を対象にしていること
単なる体感や印象ではなく、客観的なデータとして若年層の依存傾向が示された点に大きな意味があります。
SNS依存はまだ新しい社会問題です。しかし、専門機関が数値として示したことで、「なんとなく心配」だった問題が、はっきりとした現実として浮かび上がってきました。
次章では、実際にどの年代でどれほどの割合が確認されたのか、具体的な数字を見ていきます。
3. 若年層で突出した「病的使用」の割合
今回の調査で最も注目すべき点は、10代・20代の数値が他の年代と比べて明らかに高いことです。
■ 10代の状況
- 男性:7.1%
- 女性:7.5%
およそ14人に1人が「病的使用の疑い」に該当する計算になります。
10代は、学校生活や友人関係が生活の中心となる時期です。SNSはコミュニケーションの一部として欠かせない存在ですが、それが過度になると、日常生活に支障をきたすリスクも高まります。
■ 20代の状況
- 男性:4.8%
- 女性:5.0%
割合はやや下がるものの、依然として高い水準です。
20代は進学・就職・一人暮らしなど、生活環境が大きく変わる時期でもあります。孤独感や不安を抱えやすいタイミングと重なり、SNSが「逃げ場」になっている可能性も考えられます。
■ 30代以上との比較
30代以上の各年代では、割合は0~1%台にとどまりました。
この差は非常に大きく、
- 若い世代ほど依存傾向が強い
- デジタル環境で育った世代ほど影響を受けやすい
という傾向がはっきりと表れています。
■ 利用されている主なサービス
調査では、過去1年間の利用状況として、
- YouTube
- X(旧Twitter)
などの利用が挙げられています。
これらのサービスは、
- 無限スクロール
- 次々と表示されるおすすめ動画
- リアルタイムで流れる投稿
といった特徴があり、「やめどき」が見つかりにくい設計になっています。
■ 数字が示す現実
6%という数字は一見すると小さく感じるかもしれません。
しかし、人口規模に置き換えれば約140万人。
決して一部の特殊なケースではなく、身近な問題だと言えます。
この章で見えてきたのは、「若者だけの問題」ではなく、社会全体で向き合うべき課題であるという事実です。
次章では、こうした病的使用が具体的にどのような影響を及ぼしているのかを詳しく見ていきます。
4. SNS依存がもたらす深刻な影響
SNSの「病的使用」が疑われる人には、単なる長時間利用にとどまらない、生活全体への影響が見られました。
ここでは、調査結果から浮かび上がった具体的な問題を整理します。
■ 家庭内トラブルの増加
病的使用が疑われる人のうち、
- 27%が「SNS利用を巡って家族に暴言を吐いたり、暴力を振るった」と回答
- 19%が「家族から暴言を受けたり、暴力を受けたりした」と回答
SNSをやめさせようとする家族との衝突が、深刻な対立に発展しているケースもあります。
本来、家庭は安心できる場所のはずです。しかし、スマホ利用を巡る対立が続くことで、家庭内の信頼関係が崩れてしまう可能性があります。
■ 学校・社会生活への影響
さらに、次のような回答もありました。
- 30日以上学校を休んだ:6%
- 6か月以上続けて自宅に引きこもっていた:5%
数字だけを見ると小さく感じるかもしれませんが、実際に当てはまる家庭にとっては非常に深刻な問題です。
SNSへの過度な没入が、昼夜逆転や生活リズムの乱れを引き起こし、結果として学校や社会生活から距離を置いてしまうケースも考えられます。
■ 心理面への影響
依存傾向の背景には、次のような心理的要因も指摘されています。
- 孤独感
- 対人関係への不安
- 承認欲求の強さ
- 現実からの逃避
SNSは一時的に安心感やつながりを与えてくれます。しかし、現実の問題が解決されないまま利用が増えると、かえって孤立感が強まることもあります。
■ 「便利」から「支配」へ
SNSは本来、便利なコミュニケーションツールです。
しかし、
- 使う時間を自分でコントロールできない
- やめようとしてもやめられない
- 生活に支障が出ているのに続けてしまう
という状態になると、それは「利用」ではなく「支配」に近づいていきます。
今回の調査が示しているのは、単なる長時間利用の問題ではありません。家庭・学校・社会生活にまで影響が及んでいる現実です。
次章では、SNSだけでなく、インターネット全体の依存傾向についても見ていきます。
5. インターネット依存全体の悪化傾向
今回の調査では、SNSだけでなく、ゲームやメールなどを含むインターネット全体の「病的使用の疑い」についても調べられました。
その結果、10~20歳代では14.5%に上ることが分かりました。
これは、およそ7人に1人が何らかのインターネット依存傾向を示している計算になります。
■ 2018年度から大幅に増加
注目すべきは、過去との比較です。
国立病院機構久里浜医療センターが2018年度に同年代を対象に行った調査では、割合は**6.2%**でした。
それが今回、14.5%へと倍以上に増加しています。
わずか数年でここまで上昇した背景には、
- スマートフォンのさらなる普及
- 動画配信サービスの拡大
- SNSの高機能化
- コロナ禍によるオンライン生活の定着
など、社会環境の大きな変化があると考えられます。
■ 「SNSだけの問題」ではない
今回の結果から見えてくるのは、SNS単体の問題ではなく、インターネット全体への依存傾向が強まっているという事実です。
動画視聴、オンラインゲーム、チャット、ライブ配信など、スマホ一台であらゆる娯楽が完結します。そのため、「気づけば長時間」という状態が起きやすい環境が整っているのです。
■ 依存の低年齢化も進行
さらに懸念されるのは、利用開始年齢の低下です。
小学生のうちからスマートフォンを持つケースも増え、インターネットに触れる時間は年々長くなっています。
若いほど自己コントロール能力が発達途中であるため、依存傾向が強まりやすいとも言われています。
■ 数字が示す警告
14.5%という数字は、「一部の特別な人の問題」ではありません。
クラスや職場の中に、複数人いても不思議ではない割合です。
SNS依存は氷山の一角であり、その背後にはより広いインターネット依存の広がりがある――。
今回の調査結果は、そうした現実を私たちに示しています。
次章では、なぜ若者がこれほどインターネットやSNSに依存しやすいのか、その背景を掘り下げていきます。
6. なぜ若者はSNSに依存しやすいのか
なぜ、10~20代でこれほど依存傾向が高くなっているのでしょうか。
背景には、年齢特有の心理状態と、現代のデジタル環境が大きく関係しています。
■ ① 孤独感と承認欲求
思春期から青年期は、
- 友人関係への不安
- 周囲からどう見られているかへの敏感さ
- 「認められたい」という気持ち
が強くなる時期です。
SNSでは、
- 「いいね」
- コメント
- フォロワー数
といった目に見える反応が得られます。
これが一種の“報酬”となり、繰り返し利用する動機になります。
反応が少ないと不安になり、さらに投稿や閲覧を続けてしまうという循環も起こります。
■ ② 対人関係への不安
対面でのコミュニケーションに苦手意識を持つ若者も増えています。
SNSは、
- 顔を合わせなくていい
- 文章でやりとりできる
- 自分のペースで返信できる
という安心感があります。
その結果、現実の人間関係よりもSNS上の関係に依存しやすくなります。
■ ③ 24時間つながれる環境
スマートフォンの普及により、SNSは常に手の中にあります。
- 通知が鳴る
- すぐ返信できる
- 暇つぶしが無限にある
「ちょっとだけ」のつもりが、気づけば何時間も経っている――。
こうした状況は、若者に限らず誰にでも起こります。
■ ④ サービス設計そのものの影響
代表的なサービスであるYouTubeやXには、
- 無限スクロール
- 自動再生
- おすすめ表示アルゴリズム
といった機能があります。
これらは利用者の興味に合わせて次々とコンテンツを表示する仕組みです。
結果として「やめどき」が見つかりにくくなります。
■ ⑤ 自己コントロール能力の発達段階
若年層は、感情のコントロールや衝動抑制の力がまだ発達途中にあります。
楽しい・面白い・刺激的――
こうした感情が優先されやすく、「やめる判断」が後回しになりがちです。
■ 若者だけの問題ではない
ただし、これは若者を責める話ではありません。
便利で刺激的なデジタル環境の中で、誰もが依存リスクを抱えています。
若者はその影響を最も受けやすい立場にいる、ということです。
次章では、こうした背景を踏まえたうえで、具体的にどのような対策ができるのかを考えていきます。
7. 家庭・学校・地域ができること
SNS依存は、本人の「意思の弱さ」だけの問題ではありません。
だからこそ、家庭・学校・地域が連携して支えることが重要になります。
ここでは、今日から実践できる具体策を整理します。
■ ① 家庭でできること
まず大切なのは、「禁止」ではなくルールづくりです。
例:
- 夜○時以降はリビングで充電する
- 食事中はスマホを使わない
- 1日の利用時間を決める
頭ごなしに取り上げると、反発や隠れて利用する行動につながる可能性があります。
本人と話し合いながら決めることがポイントです。
また、親自身のスマホ利用を見直すことも重要です。
大人が常にスマホを見ていれば、説得力は生まれません。
■ ② 学校でできること
学校は、デジタル・リテラシー教育の重要な場です。
- SNSの仕組み
- 依存のリスク
- 正しい情報の見分け方
- トラブル事例の共有
こうした教育を通じて、「危険だからダメ」ではなく、仕組みを理解した上で使う力を育てる必要があります。
■ ③ 地域・社会の支援
依存傾向が強い場合、専門機関への相談も選択肢になります。
調査を行った国立病院機構久里浜医療センターのように、依存症治療を専門とする医療機関もあります。
- 不登校が長期化している
- 家庭内トラブルが深刻
- 昼夜逆転が続いている
といった場合は、早めの相談が重要です。
■ ④ オフラインの居場所づくり
SNSに依存する背景には、
- 孤独感
- 承認欲求
- 居場所の不足
があると考えられています。
部活動、地域活動、趣味のコミュニティなど、リアルなつながりを増やすことが、結果的に依存予防につながります。
■ 「取り上げる」より「代わりを用意する」
SNSを減らすだけでは空白が生まれます。
その時間に、
- 運動
- 読書
- 家族との会話
- 新しい趣味
といった代替行動を用意することが大切です。
SNS依存対策は、「制限」だけでは不十分です。
環境づくりと心のサポートをセットで行うことが、長期的な改善につながります。
次章では、具体的に活用できる対策商品やサービスについて紹介します。
8. SNS依存対策におすすめの具体的な商品
SNS依存を防ぐには、「意志の力」だけに頼らないことが重要です。
環境を変えることで、無意識の長時間利用を防ぐことができます。
■ ① タイムロッキングコンテナ(時間制限ロックボックス)
もっとも効果が分かりやすいのが、物理的にスマホを使えなくする方法です。
タイマー付きのロックボックスにスマホを入れると、設定時間が経過するまで取り出せません。
おすすめポイント:
- 勉強中の強制集中ができる
- 寝る前のダラダラ防止に効果的
- 受験生やテスト前の学生に人気
「どうしても触ってしまう」という人には、非常に相性の良いアイテムです。
■ ② アナログ目覚まし時計
夜中までスマホを触ってしまう原因の一つが「スマホを目覚まし代わりにしていること」です。
そこでおすすめなのが、スマホを寝室に持ち込まない環境づくり。
- アナログ目覚まし時計
- 電波時計
- 光目覚まし時計
スマホを枕元から遠ざけるだけで、就寝前の利用時間は大きく減ります。
■ ③ ノイズキャンセリングイヤホン
集中できないと、ついSNSを開いてしまいます。
例えば:
- AirPods Pro
のようなノイズキャンセリング機能付きイヤホンは、周囲の雑音を遮断し、勉強や作業に没頭しやすい環境を作ります。
「集中できない → スマホを見る」という流れを断ち切るサポートになります。
■ ポイントは「仕組み化」
重要なのは、
- 我慢する
- 根性で減らす
ではなく、触れにくい環境を作ることです。
SNS依存対策は、精神論では続きません。
物理的な遮断・時間管理・環境整備といった「仕組み」を取り入れることで、初めて現実的な改善につながります。
次章では、これらの商品をどう活用すれば効果的なのか、具体的な使い方と導線づくりを解説します。
9. SNS依存対策のコツとツールの効果的な使い方
SNS依存対策は、「商品を買えば解決」というものではありません。
大切なのは、使い方を仕組み化することです。
ここでは、前章で紹介した商品をより効果的に活用するポイントを解説します。
■ ① いきなりゼロにしない
よくある失敗は、「今日から完全にやめる」と極端な目標を立てることです。
しかし、
- 突然すべて禁止する
- 友人との連絡も遮断する
といった方法は強いストレスを生み、反動が起きやすくなります。
まずは、
- 1日○時間まで
- 夜○時以降は使用しない
- 勉強中はロックボックスに入れる
といった段階的な制限から始めるのが現実的です。
小さな成功体験を積み重ねることが、長続きのコツです。
■ ② 商品は“目的別”に使う
対策グッズは、目的を明確にして使うことで効果が高まります。
- タイムロッキングコンテナ → 強制的に集中時間を作る
- 目覚まし時計 → 寝室からスマホを排除する
- ノイズキャンセリングイヤホン → 作業中の誘惑を減らす
- 書籍 → 家族で危機意識を共有する
「とりあえず買う」のではなく、
どの時間帯の利用を減らしたいのかを明確にすることが重要です。
■ ③ 家族で共有する
特に子どもの場合は、本人だけに任せるのではなく、
- 利用ルールを一緒に決める
- 目標を共有する
- 守れた日を評価する
といったサポートが必要です。
一方的な制限は反発を招きますが、
協力型のルールは継続しやすくなります。
SNSは便利で楽しいツールです。
だからこそ、「根性」ではなく環境と仕組みでコントロールすることが大切です。
商品やツールを上手に活用しながら、
自分で使い方を選べる状態へ戻していく。
それが、現実的で続けやすいSNS依存対策と言えるでしょう。
まとめ
今回の調査で明らかになったのは、若年層におけるSNS依存の深刻さです。
- 10~20代の 6%(約140万人) が「病的使用の疑い」
- インターネット全体では 14.5% に拡大
決して一部の特別な人の問題ではありません。
■ SNSは悪ではない
SNSは、
- 情報収集
- コミュニケーション
- 学習や自己表現
に役立つ便利なツールです。
問題なのは、「使っている状態」から「使われている状態」になることです。
■ 大切なのは“仕組み化”
- いきなりゼロにしない
- ルールを決める
- 環境を整える
- 必要なら対策商品を活用する
意志の力だけに頼らず、環境でコントロールすることが現実的な方法です。
SNSとどう付き合うかは、これからの時代の重要なテーマです。
まずは利用時間を見える化すること。
そして、小さな改善から始めること。
今日の一歩が、健全な使い方への第一歩になります。
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