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【図解付き】銅の電解精錬を完全マスター!原理から応用まで徹底解説

化学
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はじめに

皆さん、こんにちは。今日は高校化学の重要トピック「銅の電解精錬」について詳しく解説します。スマートフォンや電線など、私たちの生活に欠かせない高純度の銅。その製造過程である電解精錬は、現代技術を支える重要な化学プロセスです。図解を交えながら、基礎から応用まで分かりやすく説明していきましょう。

1. 銅の電解精錬とは?

銅の電解精錬は、不純物を含む粗銅から99.99%以上の純度を持つ銅(純銅)を生産する電気化学的プロセスです。この方法により、様々な産業で必要とされる高品質の銅を効率的に製造することができます。

2. 電解精錬の原理(図解付き)

陰極に純銅、陽極に粗銅、電解質には硫酸銅(II)CuSO4水溶液を用いる!

STEP
粗銅にはZn,Fe,Ag,Auなども含まれる!

粗銅の銅の割合は98.5%ほど、不純物として、Zn,Fe,Ag,Auなどが含まれる!

STEP
Cuと不純物(Zn,Fe,Ag,Au)のイオン化傾向を比べる!

・銅よりイオン化傾向が大きいと、陽イオンになり溶液中に溶ける!
・銅よりイオン化傾向が小さいと陽極側に陽極泥として沈澱する!

  • 亜鉛Znと銅Cu
    Zn > Cu
    →亜鉛イオンZn2+が溶液中に溶ける!
  • 鉄Feと銅Cu
    Fe > Cu
    →鉄イオンFe2+が溶液中に溶ける!
  • 銀Agと銅Cu
    Ag < Cu
    →銀Agが陽極泥として沈澱する!
    →銅Cuは銅イオンCu2+として、溶液中に溶け出す!
  • 金Auと銅Cu
    Au< Cu
    →金Auが陽極泥として沈澱する!
    →銅Cuは銅イオンCu2+として、溶液中に溶け出す!

なぜ、すべて銅と比較するの?
粗銅のうち、98.5%ほど銅なため不純物はすべて銅と隣り合っているから!
→隣り合っている者同士で電子のやり取りをするためである!

STEP
陰極に入ってきた電子と水溶液中のCu2+が反応し、純銅に析出する!

陽極,陰極でのイオン反応式

陽極での反応

銅が銅イオンになる反応

Cu → Cu2+ + 2e

亜鉛が亜鉛イオンになる反応

Zn → Zn2+ + 2e

鉄が鉄イオンになる反応

Fe → Fe2+ + 2e

銀と金は変化しないため、反応式はない!

陰極での反応

Cu2+ + 2e → Cu

3.電解精錬の魅力

  • 超高純度の銅が得られる(99.99%以上)
  • 貴重な副産物(金、銀など)の回収が可能
  • エネルギー効率が良い
  • 大規模生産に適している
  • 環境負荷が比較的低い

4. 産業界での活躍

  •  電気製品:スマートフォン、パソコン、家電製品
  • 建築材料:電線、配管、屋根材
  • 医療機器:MRI装置のコイル、手術器具
  • 再生可能エネルギー:太陽光パネル、風力発電機
  • 自動車産業:電気自動車のバッテリー、モーター

5. 知られざる歴史

電解精錬の誕生

1865年、イギリスの冶金学者ジェームズ・エルキントンが銅の電解精錬法の特許を取得しました。これが近代的な銅の電解精錬の始まりとなりました。

日本での発展


1917年、日立鉱山で日本初の電解製錬所が操業を開始。以来、日本の銅精錬技術は世界トップクラスに発展し、現在も高い競争力を維持しています。

6. 驚きの豆知識

  • 巨大な電解槽:工業用の電解槽は長さが10メートル以上に及ぶことがあります。
  • 貴重な副産物:電解精錬で回収される金は、世界の金生産量の約15%を占めています。
  • 電力消費量:1トンの銅を精錬するのに約300-400 kWhの電力が必要です。これは一般家庭の1ヶ月分の電力消費量に相当します。
  • 銅の再利用:電解精錬は銅のリサイクルにも使用され、環境保護に貢献しています。
  • 純度の高さ:電解精錬で得られる銅の純度は99.99%以上で、これは「4N(フォーナイン)」と呼ばれます。
  • 応用技術:銅の電解精錬技術は、ニッケルや亜鉛など他の金属の精製にも応用されています。
  • 銅の色の秘密:電解精錬で得られた純銅は、酸化していない状態では薄いピンク色をしています。空気に触れると表面が酸化して、私たちがよく知る赤銅色になります。

おわりに

銅の電解精錬は、化学の知識が実社会でどのように活用されているかを示す素晴らしい例です。この記事を通じて、皆さんの化学への興味がさらに深まったことを願っています。化学は私たちの生活を支える重要な科学であり、その応用は私たちの周りに溢れています。

次回は、アルミニウムの製造方法について、同じく図解を用いて詳しく見ていきます。お楽しみに!​​​​​​​​​​​​​​​​

※ これからも文系の方にもわかるように、化学基礎・化学を解説していきますのでチェックお願いします!

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