はじめに
今日は化学の基本である「中和反応」と、その中で重要な「量的関係」についてお話しします!化学と聞くと、難しそうに感じるかもしれませんが、ここではできるだけわかりやすく説明していきますので、安心してください!
中和反応(復習)
中和反応とは、酸と塩基が互いの性質を打ち消し合う反応のこと!
中和反応では、「水」と「塩」が生じる!
中和反応と量的関係
中和点
中和点とは、酸H+と塩基OH−が過不足なく反応する点(H+とOH−の数が同じ!)
中和点では以下の関係が成り立つ!
水素イオンH+の物質量mol=水酸化物イオンOH−の物質量
中和点では、H+,OH−がほとんどない状態!同じ数あれば、水になって性質が打ち消されている!
例)塩化水素HClと水酸化カルシウムCa(OH)2の中和を考える!
- 酸(HCl)と塩基(Ca(OH)2)を全て電離して考える!
塩化水素1つあたり、1つH+を出すので1価の酸である!
水酸化カルシウムは1つあたり2つOH−を出すので2価の塩基である! - H+とOH−の数を等しくなるように調整する!
・塩化水素を1つ増やすことで、同じ数に調整できた!
・塩化水素は1価の酸のため塩化水素は2mol(個)必要であり、水酸化カルシウムは2価の塩基のため、水酸化カルシウムは1mol(個)必要! - 酸と塩基の量的関係は以下のようになる!
酸と塩基の物質量(数の関係が)同じようになっている! - 化学反応式
中和反応の関係式
水溶液のとき、H+,OH−の物質量はそれぞれ次の式で求める!
酸と塩基が過不足なく反応するとき、次の式が成り立つ!
中和反応の関係式
a × c × V = b × c’× V’
a =酸の価数,c =酸のモル濃度[mol/L],V =酸の体積 [L]
b =塩基の価数,c’ =塩基のモル濃度[mol/L] V’ = 塩基の体積[L]
実際に問題を解いてみよう!
例題
濃度が分からない硫酸20mLを中和するのに、0.100mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液が10mL必要だった。この硫酸のモル濃度を求めよ。
- 酸と塩基が中和しているため以下の関係が成り立つ!
水素イオンH+の物質量mol=水酸化物イオンOH−の物質量 - 溶液の濃度が与えられているため、以下の式を用いる!
a × c × V = b × c’× V’ - 酸・塩基の価数を決定する!
硫酸は1つあたり、H+を2つを出すことができるため2価の酸である!
※H2SO4 → 2H+ + SO42−
水酸化ナトリウムは1つあたり1つのOH−を出すことができるため1価の塩基である!
※NaOH → Na+ + OH− - ②の式に代入する!
- 硫酸のモル濃度は0.025mol/L!
問題1
0.20mol/Lの硫酸20mLに、ある量のアンモニアを吸収させた。そのあと硫酸を中和するのに、0.10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液が40mL必要であった。吸収したアンモニアは何molか。
答えはこちらをクリック!
- 酸と塩基が中和しているため以下の関係が成り立つ!
水素イオンH+の物質量mol=水酸化物イオンOH−の物質量 - 溶液の濃度が与えられているため、以下の式を用いる!
a × c × V = b × c’× V’ - 酸・塩基の価数を決定する!
硫酸は1つあたりH+を2つを出すことができるため2価の酸である!
※H2SO4 → 2H+ + SO42−
アンモニアは1つあたりOH−を1つ出すことができるため1価の塩基である!
※NH3 + H2O → NH4+ + OH–
水酸化ナトリウムは1つあたりOH−を1つ出すことができるため1価の塩基である!
※NaOH → Na+ + OH− - ②の式に代入する!
硫酸にアンモニアを吸収させた時点では中和せず、水酸化ナトリウムを加えた後に中和したためこのような式になる! - 両辺に1000をかけて、計算すると以下の式になる!
- 吸収したアンモニアの物質量は4.0×10−3mol
問題2
水酸化ナトリウム4.00gを中和するのに必要な0.200mol/L塩酸の体積は何mLか。
原子量g/mol はH=1.0,O=16,Na=23とする。
答えはこちらをクリック!
- 酸と塩基が中和しているため以下の関係が成り立つ!
水素イオンH+の物質量mol=水酸化物イオンOH−の物質量 - 酸・塩基の価数を決定する!
塩酸は1つあたりH+を1つ出すことができるため1価の酸である!
※HCl → H+ + Cl −
水酸化ナトリウムは1つあたりOH−を1つ出すことができるため1価の塩基である!
※NaOH → Na+ + OH− - 酸から放出されるH+の物質量を求める!
酸の物質量は0.200V mol - 塩基から放出されるOH−の物質量を求める!
塩基の物質量は0.10mol - ①より中和しているとき、H+の物質量とOH−の物質量は等しいので③,④より以下のようになる!
塩酸の体積は0.5Lだが、mLで聞かれれているので答えは500mL!
さいごに
中和反応とその量的関係について、少しは理解が深まりましたでしょうか。化学は難しそうに思えるかもしれませんが、基本的な概念を抑えるととても面白いものです。日常生活の中にも多くの化学反応が隠れているので、ぜひ興味を持って観察してみてください。
中和反応の仕組みを知ることで、例えば胃薬がどのようにして胃酸を中和してくれるのか、また掃除用のアルカリ性洗剤が酸性の汚れを落とす理由が分かるようになります。これらの知識は、日常生活に役立つだけでなく、科学に対する新しい視点をもたらしてくれるでしょう。
これからも文系の方にもわかるように、化学基礎・化学を解説していきますのでチェックお願いします!
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