はじめに
前回は、塩の水溶液での性質について解説しました。今回は、塩と酸、塩と塩基の反応について解説していきます!今回も前回同様に、「強弱」について考える必要があります!前回の塩の水溶液の性質をまだ見ていない人は、そちらも合わせてみてください!
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塩って何?(復習)
まず、「塩」と聞くと、台所にある食塩を思い浮かべる方が多いでしょう。でも、化学の世界での塩はもっと広い意味を持っています。塩は、酸と塩基が反応してできる物質のことです。
酸とは?
酸は、味がすっぱいものが多いです。例えば、レモンや酢に含まれている物質ですね。化学的には、酸は水に溶けると水素イオン(H⁺)を放出する物質のことを指します。
塩基とは?
塩基は、酸とは反対に苦い味がします。代表的なものに重曹(ベーキングソーダ)があります。塩基は、水に溶けると水酸化物イオン(OH⁻)を放出する物質です。
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塩と酸・塩基の反応
酢酸ナトリウム(弱酸の塩)と塩酸(強酸)の反応
理解する時のイメージ!
①強酸・強塩基になるイオンはお父さん!
②弱酸・弱塩基になるイオンは赤ちゃん!
③H+,OH−はおもちゃ!
・お父さんはおもちゃはいらない!(H+,OH−がなくても大丈夫!)
・赤ちゃんはおもちゃが欲しい!(H+,OH−が欲しい…)
- 電離させた状態を考える!
- 水素イオンの動きを考える!
酢酸イオンは弱酸になるイオンなので赤ちゃん(H+が欲しい!)
塩化物イオンは強酸になるイオンなのでお父さん(H+いらない!) - 完成!
- 弱酸の塩(酢酸ナトリウム)から弱酸(酢酸)が生じた!
- ④のことを弱酸の遊離という!
塩化アンモニウム(弱塩基の塩)と水酸化ナトリウム(強塩基)の反応
- 電離させた状態を考える!
- 水酸化物イオンの動きを考える!
アンモニウムイオンは弱塩基になるイオンなので赤ちゃん(OH−が欲しい!)
ナトリウムイオンは強塩基になるイオンなのでお父さん(OH−いらない!)
アンモニウムイオンNH4と水酸化物イオンOH−が反応すると、アンモニアNH3と水H2Oになる! - 完成!
- 弱塩基の塩(塩化アンモニウム)から弱酸(アンモニア)が生じた!
- ④のことを弱塩基の遊離という!
化学の世界は優しい世界(イメージ!)
①弱酸になりたいイオンに強酸が水素イオンH+をあげる!
→強いものは弱いものにあげる!
②弱塩基になりたいイオンに強塩基が水酸化物イオンOH−をあげる!
→強いものは弱いものにあげる!
塩の利用
塩といえば食卓塩が思い浮かぶかもしれませんが、実は他にもたくさんの種類と用途があります。以下にいくつかの例を紹介します。
- ベーキングパウダー:ケーキやパンを膨らませるために使われるベーキングパウダーは、重曹(炭酸水素ナトリウム)と酸性の塩が混ざったものです。焼くときにガスを発生させて、生地を膨らませます。
- クエン酸ナトリウム:これは弱酸であるクエン酸と塩基であるナトリウムが結合したものです。食品添加物として使われるほか、清掃用品としても使われます。
- 硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン):これは水の浄化や制汗剤として使われます。水中の不純物を吸着させて取り除くのに役立ちます。
- 発泡入浴剤:お風呂に入れるとシュワシュワと泡が出る入浴剤は、炭酸水素ナトリウム(重曹)とクエン酸が反応して二酸化炭素を発生させます。これにより、お湯が泡立ち、リラックス効果があります。
おわりに
酸と塩基の化学反応は、私たちの日常生活に欠かせないものであり、私たちの生活を豊かにするために多くの場面で利用されています。弱酸と弱塩基の遊離の仕組みを知ることで、身近なものがどのように作られているか、またその働きを理解する一助となるでしょう。
このように、化学は意外と身近なところにあって、私たちの生活を支えています。次に何かを使うときには、その背後にある科学の力をちょっと思い出してみてくださいね!
これからも、化学基礎・化学について文系の方にもわかりやすくカンタンに解説していきます!いかにおすすめの参考書を貼っておきますので、さまざまな問題にチャレンジしてください!
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