【結論】
後発地震注意情報が発表されたら「巨大地震の発生確率が平常時より相対的に高まっている状態」であり、避難ルート・備蓄・家具固定など “行動レベルの備え” を即チェックすべき。避難指示ではないが、備えの再確認が命を左右する。
1. 後発地震注意情報とは?【最重要ポイント】
後発地震注意情報は、北海道〜三陸沖でM7級以上の地震が発生した際、後続して巨大地震(M8〜M9)が発生する可能性が平常時より高まったことを知らせる情報。
✔ 避難指示ではない
✔ 期間は1週間
✔ 「南海トラフ巨大地震注意」に相当する情報
✔ 発表されたのは今回が史上初
大規模課題は、
平常時よりリスクが上がっている → でも確率は高くない → しかし起きれば壊滅的。
この“バランス”が理解のポイントです。
2. なぜ発表されたのか?(今回の背景)
青森県東方沖でのM7級地震により、
「後発地震の条件(M7以上)」を満たしたため。
さらにこの海域は、
- 日本海溝
- 千島海溝
という日本最大級の沈み込み帯が連続し、M9級巨大地震の切迫性が高いと政府が公式評価している。
実際、東日本大震災(2011)でも
M7.3 → 2日後 → M9.0
という “典型的な前震 → 本震” の連続が発生しています。
3. 科学的に見る:なぜM7のあとにM8〜M9が起きるのか?
巨大地震はプレート境界の**「固着域(ストレス蓄積帯)」で発生**します。
M7程度の地震はその固着域の一部だけが破壊されるため、
- 残った固着域にストレスが集中
- 周辺が不安定化
- 大規模破壊につながる可能性が生まれる
というメカニズムがあります。
統計的にも世界では1477例中17例(約1%)でM7→M8以上が連続発生している。
つまり、
確率は高くないが、ゼロではない。それが後発地震注意情報の根拠。
4. 後発地震注意情報と南海トラフ臨時情報の違い
| 項目 | 後発地震注意情報 | 南海トラフ臨時情報 |
|---|---|---|
| 対象海域 | 北海道〜三陸沖 | 南海トラフ |
| 階層 | 1段階のみ | 2段階(注意 / 警戒) |
| 避難指示 | なし | 警戒の場合は事前避難あり |
| 発表条件 | M7以上 | 異常な地殻活動など複数 |
北海道・三陸沖では連続巨大地震の歴史的例が少ないため、
「警戒」段階は設定されていません。
5. 過去の実例:M7→巨大地震は“実際に日本で起きている”
■2011年 東日本大震災
- M7.3 → 2日後 → M9.0
- 約2万人死亡
■1963年 千島海溝(択捉島)
- M7級 → 18時間後 → M8.5
■2025年7月 カムチャツカ地震(M8.8)
- 10日前にM7級
つまり、今回の情報は“机上の空論”ではなく、
日本で実際に起きたパターンを踏まえて設定されています。
6. 「空振りが多い」ことはむしろ正常
巨大地震は確率的に 100回中99回は起きない。
しかし一度起きれば壊滅的被害をもたらすため、
空振り前提で備えるのが防災の基本。
これは火災訓練と同じ原理です。
7. 後発地震注意情報が出たときに“必ずやること”
以下は、地震研究者・防災専門家が一致して推奨する
「発表から24時間以内に確認すべき行動リスト」です。
【① 家具固定の再確認(最重要)】
巨大地震の死因の30〜50%は
家具・家電の転倒・落下・移動 とされています。
✔ 冷蔵庫をL字金具で固定
✔ タンス・本棚を壁へ固定
✔ テレビは転倒防止ベルト
✔ 寝室には背の高い家具を置かない
揺れる前の10分の作業で生存率が劇的に上がる と研究で示されています。
【② 避難経路を必ず確認】
- 海沿いは 高台・避難ビルの位置を再確認
- 夜間でも行けるルートか
- 家族が別々の場所にいた場合の集合場所
津波の生存率は
10分以内に避難行動を開始したかどうか
でほぼ決まります。
【③ 車のガソリンを満タンにする】
大震災後はガソリン供給が数日〜数週間止まります。
車は「避難」「生活維持」「暖房」に直結します。
【④ 水と食料の備蓄(1週間分)】
政府推奨は3日分ですが、
大規模地震では1週間が必須。
- 飲料水:1人×1日3L
- レトルト・缶詰・カロリーメイト
- カセットガス(3本以上)
- 非常用トイレ(1人20回分以上)
【⑤ 充電とモバイルバッテリーの確保】
停電すると情報途絶 → これが最も危険。
- スマホ100%
- モバイルバッテリー満充電
- 停電用ライト(乾電池式)
8. おすすめの防災グッズ(科学的根拠あり)
以下は、防災研究の実証結果に基づく
“本当に命が助かるグッズ” です。
■ 家具固定系
- L字金具(最強の固定方法)
- ポール式つっぱり棒(天井が丈夫な場合のみ)
- 耐震ジェルマット(テレビ・電子レンジ)
家具固定は死亡リスクを70〜90%下げると地震学会が公表。
■ 避難・非常持ち出し袋
- ヘッドライト(両手が空くため必須)
- 笛(閉じ込められた際に有効)
- モバイルバッテリー
- 500ml水2本
- 大判アルミブランケット
- 常備薬・生理用品
- 充電ケーブル
- 軍手
■ 在宅避難用(1週間生活キット)
- 飲料水
- カセットコンロ+ガス
- アウトドア用鍋
- トイレットペーパー
- 非常用トイレ
- ポリ袋(30L)
在宅避難は“最も現実的な選択”とされています。
9. 後発地震注意情報は「予知」ではない
重要なのは、
この情報は予知ではなく、統計と科学に基づく“確率上昇の通知”であること。
巨大地震は予測不可能であり、
「前触れなしに突然起きる」ケースが大多数です。
そのため、
普段から備えている人だけが、情報に振り回されずに済む。
という構造。
10. 今回の情報で混乱しないために
結論としてはこうです。
- 発表 → 「今までより危険だが、すぐ巨大地震が来るとは限らない」
- 行動 → 備えの再チェック
- 恐怖 → 不要
- 無関心 → 危険
この “適切な緊張感” が最も大切。
11. まとめ(読者が今やるべきこと)
最後に、この記事の要点をまとめます。
【最重要まとめ】
✔ 後発地震注意情報は「巨大地震の確率が平常時より上がった」という通知
✔ 避難指示ではない
✔ 発表されたら24時間以内に備えの再確認を
✔ 空振りが普通。だからこそ備える価値がある
✔ 家具固定・備蓄・避難経路は必ずチェック
✔ 特に沿岸部は津波避難ルートを最優先
参考文献(信頼性の担保)
※すべて日本政府・研究機関による一次情報
- 気象庁「北海道・三陸沖後発地震注意情報」
- 気象庁 地震火山部資料
- 内閣府(防災)「巨大地震モデル評価」
- 地震調査研究推進本部「長期評価」
- 産業技術総合研究所(AIST)活断層・地震研究センター
- 東京大学地震研究所(ERI)
- 東北大学 地震・噴火予知研究観測センター
- 国土地理院(GNSS地殻変動データ)
- 2011年東北地方太平洋沖地震 報告書(内閣府)
- 1963年千島海溝地震 文部科学省・地震調査委員会
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