はじめに
毎年、35℃を超える猛暑が当たり前になってきた日本の夏。ニュースでは連日「熱中症で搬送された人の数」が報じられています。
でも、実はもっと怖いのは…
“気づかないうちに進行する脱水”
= 隠れ脱水(かくれだっすい) です。
本人も家族も気づかないまま、脳・心臓・腎臓などに深刻な影響を与え、やがて熱中症・認知機能の低下・転倒事故・慢性疲労などに直結する可能性があります。
この記事では、隠れ脱水が引き起こす害、熱中症との違い、対策のコツを医学的・実用的に解説します。
隠れ脱水とは?「渇いてるのに気づかない」状態
隠れ脱水とは、体の中で水分と電解質(ナトリウムなど)が不足している状態にも関わらず、明確な自覚症状がほとんどない状態です。
ポイントは、「喉が渇いた」「頭が痛い」といった明確なサインが出ないこと。
特に以下のような人は要注意です:
- 高齢者(感覚が鈍くなる)
- 子ども(自分で訴えられない)
- デスクワーク中心の人(発汗に気づかない)
隠れ脱水が引き起こす5つの害
① 熱中症の前段階として進行する
脱水が進行していくと、体温調節ができなくなり、最終的に熱中症に直結します。
隠れ脱水に気づかず外出や運動をすると、突然の立ちくらみや吐き気→倒れるといったことも。
② 脳の働きが低下する(集中力・判断力が落ちる)
脳は水分を多く含んだ臓器です。隠れ脱水が続くと、脳の神経伝達に支障が出て、以下のような変化が起こります。
- 集中できない
- イライラしやすくなる
- 仕事でミスが増える
- 反応が遅くなる(特に高齢者は転倒リスク)
③ 腎臓・心臓への負担が増す
水分不足により血液がドロドロになり、心臓は強く血を押し出す必要が出てくるため、心拍数が増加。
また、尿を作る腎臓にも負担がかかり、腎機能が低下する恐れがあります。
- 心臓病のリスクがある人は特に危険
- 尿量の低下やむくみなどのサインに注意
④ 慢性的な疲労・倦怠感がつづく
体内の電解質が失われると、筋肉や神経の働きも悪くなり、だるさ・疲労感が抜けない状態に。
- 「なんかずっと疲れてる…」という人は隠れ脱水の可能性大
- 寝ても回復しない人はまず水分と塩分を見直して
⑤ 認知機能の低下・せん妄(高齢者)
高齢者の場合、脱水によって**脳血流が減り、認知症に似た症状(せん妄)**が現れることがあります。
- うわごとを言う、場所がわからなくなる、興奮するなど
- 医療現場でも「軽い認知症かと思ったら脱水だった」という事例が多数
熱中症との違いは「スピードと自覚症状」
比較項目 | 隠れ脱水 | 熱中症 |
---|---|---|
進行速度 | ゆっくり | 急速(短時間) |
自覚症状 | ほぼなし | 頭痛・吐き気・発汗など明確 |
危険性 | 放置すれば危険 | 即座に命に関わる |
対処 | 日常習慣で予防 | 応急処置+病院 |
隠れ脱水は「静かに体をむしばむ」タイプ。
気づいた時にはもう遅いこともあります。
隠れ脱水の初期サインに気づく方法
以下のような症状がある場合は、隠れ脱水を疑ってください:
- 尿の色が濃い(レモン色以上)
- 口がネバつく、乾いている
- ぼーっとする/頭が重い
- 肌にハリがなく、カサついている
- 手足が冷たいのに汗をかいていない
科学的に正しい水分・電解質の補給法
☑ 水だけではダメ!
汗で失うのは水分だけでなく、ナトリウム・カリウムなどの電解質も一緒。
だから、水分+塩分(または経口補水液)が基本です。
理想の水分補給のタイミング
- 起床後すぐ → 常温水をコップ1杯
- 日中 → 1時間おきに100〜150mlずつ
- 外出・運動時 → 経口補水液 or スポーツドリンク
- 就寝前 → 寝汗対策として少量の水+ミネラル
食事と生活でできる脱水対策
🥗 おすすめの食べ物
- 味噌汁・スープ類 → 水分+塩分+ミネラル補給
- きゅうり・スイカ・トマト → 水分が豊富&カリウム補給
- 納豆・梅干し・漬物 → ナトリウム補給&食欲アップ
🚫 控えたいもの
- コーヒー・紅茶(利尿作用あり)
- アルコール(脱水を加速)
家でも外でもできる暑さ対策
- エアコン設定:室温28℃以下/湿度60%以下を目安
- 遮光カーテン・グリーンカーテンで日差しカット
- 冷感グッズ:ネッククーラー、冷却スプレー、携帯扇風機
- 服装:吸湿速乾の素材/帽子・日傘
「気づかないうちに脱水」は誰にでも起こる
特に注意したいのは以下の人たち:
- 👶 小さな子ども(自分で水分を求められない)
- 👵 高齢者(喉の渇きに気づかない)
- 🧑💻 テレワーク中の大人(室内でも油断)
- 🧓 持病のある人(腎臓・心臓疾患など)
今日からできる!脱水予防の5つの習慣
- 朝起きたらまず水分補給
- 尿の色をチェック
- 水だけでなく「塩分」も意識して摂る
- 暑さ対策グッズを常備
- 家族全員で「声かけ」して水分を忘れない工夫を!
おわりに|夏を安全に過ごすには「水」よりも「意識」
隠れ脱水は、見えないけれど確実に命をむしばむリスクです。
- 疲れやすい
- 頭がぼんやりする
- 汗かいたのに喉が乾かない
それはすべて、「体からのサイン」かもしれません。
水だけではなく、「気づく習慣」こそが最大の予防です。
今年の夏も、水分・塩分・意識で、自分と家族を守りましょう。

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