~定期テスト・共通テスト対策にこれだけ読めばOK~
1. はじめに:酸化還元は「化学基礎最大の山場」
化学基礎の中でも、多くの人がつまずく単元が「酸化還元」です。
・電子?
・酸化数?
・半反応式?
・イオン反応式?
・酸化剤と還元剤?
最初は用語が多くて混乱します。しかし実は、酸化還元は**「電子のやりとり」**を理解するだけで一気に整理できます。
この記事では、
- 酸化と還元の基本
- 酸化数の求め方
- 酸化剤・還元剤の見分け方
- 半反応式の作り方
- 電池との関係
- 入試頻出問題の解き方
まで、体系的に解説します。
2. 酸化と還元の基本
2-1 酸化とは何か?
酸化とは
電子を失うこと
です。
昔は「酸素と結びつくこと」と定義されていました。しかし現在の定義では、
- 電子を失う → 酸化
- 電子を受け取る → 還元
と考えます。
例1:マグネシウムの反応
Mg → Mg²⁺ + 2e⁻
マグネシウムは電子を2個失っています。
つまりこれは「酸化」です。
2-2 還元とは何か?
還元とは
電子を受け取ること
例:
Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu
銅イオンが電子を受け取って銅になります。
これは「還元」です。
2-3 酸化と還元は必ず同時に起こる
ここが超重要ポイントです。
電子は単独では存在できません。
つまり、
- 失う物質がある
- 受け取る物質がある
必ずセットで起こります。
これを
酸化還元反応
と呼びます。
3. 酸化数とは何か?
酸化数は多くの人が混乱するポイントです。
3-1 酸化数の定義
酸化数とは、
原子がどれだけ電子を失った(または受け取った)と考えるかを示す数
です。
実際に電子が移動していなくても、「仮に電子が移動したと考える」ルールで決めます。
3-2 酸化数の基本ルール
絶対に覚えるべきルールはこれです。
① 単体は0
H₂、O₂、Fe など → すべて 0
② 単原子イオンはイオンの価数
Na⁺ → +1
Cl⁻ → -1
Mg²⁺ → +2
③ 水素は通常 +1
ただし例外あり:
金属水素化物(NaHなど)では -1
④ 酸素は通常 -2
例外:
過酸化物(H₂O₂)では -1
⑤ 化合物全体の酸化数の和は0
例:H₂O
2×(+1) + x = 0
x = -2
⑥ イオン全体では電荷に一致
SO₄²⁻ の場合
x + 4(-2) = -2
x = +6
4. 酸化数変化で酸化還元を見抜く
酸化数が増える → 酸化
酸化数が減る → 還元
例題
Fe²⁺ → Fe³⁺
+2 → +3
酸化数が増えている
→ 酸化
Cl₂ → Cl⁻
0 → -1
酸化数が減っている
→ 還元
5. 酸化剤と還元剤
ここも混乱ポイントです。
5-1 定義
酸化剤
→ 相手を酸化させる物質
→ 自分は還元される
還元剤
→ 相手を還元させる物質
→ 自分は酸化される
例
Zn + Cu²⁺ → Zn²⁺ + Cu
Zn は電子を失う → 酸化 → 還元剤
Cu²⁺ は電子を受け取る → 還元 → 酸化剤
6. 半反応式の作り方(超重要)
試験でよく出る問題です。
手順(酸性条件)
① 原子を合わせる(OとH以外)
② OをH₂Oで合わせる
③ HをH⁺で合わせる
④ 電子で電荷を合わせる
例:MnO₄⁻ → Mn²⁺
① Mnは合っている
② Oが4個 → 4H₂Oを右に
③ Hは8個 → 左に8H⁺
④ 電荷調整
左:-1 + 8 = +7
右:+2
電子5個を左に追加
完成:
MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O
7. イオン反応式の作り方
① 半反応式を書く
② 電子数を合わせる
③ 足す
④ 共通項を消す
8. 電池との関係
酸化還元は電池と直結しています。
ボルタ電池
Zn → Zn²⁺ + 2e⁻
Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu
電子が外部回路を流れる
→ 電流発生
9. 標準電極電位
値が大きいほど還元されやすい。
例:
Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu +0.34V
Zn²⁺ + 2e⁻ → Zn -0.76V
Cuの方が還元されやすい。
10. よくあるミス
・酸化剤と還元剤を逆にする
・酸化数の計算ミス
・電子数合わせ忘れ
・H⁺とH₂Oの追加ミス
11. 共通テスト対策ポイント
① 酸化数を素早く出せる
② 酸化・還元の判定が即できる
③ 電池問題を図で考える
酸化還元 演習問題12題(問題+解答解説)
第1問【酸化と還元の判定】
次の反応式について、酸化される物質と還元される物質をそれぞれ答えよ。また、電子の移動を示す半反応式も書け。
(1) Mg + Cl₂ → MgCl₂
【解答】
Mg は 0 → +2
Cl₂ は 0 → -1
酸化:Mg
還元:Cl₂
半反応式
Mg → Mg²⁺ + 2e⁻
Cl₂ + 2e⁻ → 2Cl⁻
第2問【酸化数の計算】
次の化合物中の下線部元素の酸化数を求めよ。
(1) NH₃ 中の N
(2) KMnO₄ 中の Mn
(3) H₂SO₄ 中の S
【解答】
(1) NH₃
x + 3(+1) = 0
x = -3
(2) KMnO₄
+1 + x + 4(-2) = 0
x = +7
(3) H₂SO₄
2(+1) + x + 4(-2) = 0
x = +6
第3問【酸化数変化の判定】
次の変化について、酸化か還元かを答えよ。
(1) Fe²⁺ → Fe³⁺
(2) Cl₂ → 2Cl⁻
(3) MnO₂ → Mn²⁺
【解答】
(1) +2 → +3
酸化
(2) 0 → -1
還元
(3) MnO₂
x + 2(-2)=0
x=+4
+4 → +2
還元
第4問【酸化剤・還元剤】
次の反応式について、酸化剤と還元剤を答えよ。
Zn + Cu²⁺ → Zn²⁺ + Cu
【解答】
Zn:0 → +2(酸化)
Cu²⁺:+2 → 0(還元)
酸化剤:Cu²⁺
還元剤:Zn
第5問【半反応式(酸性条件)】
次の変化の半反応式を、酸性条件で作れ。
MnO₄⁻ → Mn²⁺
【解答】
① 酸化数確認
MnO₄⁻ の Mn
x + 4(-2) = -1
x = +7
生成物 Mn²⁺ は +2
+7 → +2
→ 5電子受け取る(還元)
② 原子をそろえる
Mn は1個ずつでOK
MnO₄⁻ → Mn²⁺
③ Oをそろえる
左にOが4個
→ 右に 4H₂O
MnO₄⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O
④ Hをそろえる
右にHが8個
→ 左に 8H⁺
MnO₄⁻ + 8H⁺ → Mn²⁺ + 4H₂O
⑤ 電荷をそろえる
左:-1 + 8 = +7
右:+2
差は5
→ 左に 5e⁻
完成
MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O
第6問【イオン反応式】
次の反応のイオン反応式を作れ。
Fe²⁺ + MnO₄⁻ → Fe³⁺ + Mn²⁺
(酸性条件)
【解答】
① 半反応式を作る
まず酸化と還元を分ける。
(1)Fe²⁺ → Fe³⁺
+2 → +3
電子1個失う(酸化)
Fe²⁺ → Fe³⁺ + e⁻
(2)MnO₄⁻ → Mn²⁺
これは第5問でやった式。
MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O
② 電子数をそろえる
Feは1個の電子
Mnは5個の電子
→ Feの式を5倍
5Fe²⁺ → 5Fe³⁺ + 5e⁻
③ 足し合わせる
MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻
→ Mn²⁺ + 4H₂O
5Fe²⁺ → 5Fe³⁺ + 5e⁻
電子を打ち消す。
④ 完成
MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5Fe²⁺
→ Mn²⁺ + 4H₂O + 5Fe³⁺
第7問【電子数の計算】
次の反応で移動する電子の総数を求めよ。
2Al + 3Cu²⁺ → 2Al³⁺ + 3Cu
【解答】
① それぞれの半反応を考える
まず、酸化と還元を分けます。
(1)Al の変化
Al → Al³⁺
0 → +3
電子3個失う(酸化)
Al → Al³⁺ + 3e⁻
問題では Al が2個あるので
2Al → 2Al³⁺ + 6e⁻
(2)Cu²⁺ の変化
Cu²⁺ → Cu
+2 → 0
電子2個受け取る(還元)
Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu
問題では Cu²⁺ が3個あるので
3Cu²⁺ + 6e⁻ → 3Cu
② 電子数を確認
Al側:6e⁻ 出す
Cu側:6e⁻ 受け取る
答え
移動する電子の総数は 6個
第8問【イオン化傾向】
ZnをCuSO₄水溶液に入れた。
(1) 起こる反応式を書け。
(2) 酸化される物質を答えよ。
(3) 還元される物質を答えよ。
【解答】
① 何が起こるか考える
ポイントは イオン化傾向。
イオン化傾向
Zn > Cu
→ Zn の方がイオンになりやすい(電子を失いやすい)
つまり、
Zn が酸化され、
Cu²⁺ が還元される。
② 反応式
Zn → Zn²⁺ + 2e⁻
Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu
まとめると
Zn + Cu²⁺ → Zn²⁺ + Cu
(CuSO₄のSO₄²⁻は反応に関与しない=傍観イオン)
③ 答え
(1) Zn + Cu²⁺ → Zn²⁺ + Cu
(2) 酸化される物質:Zn
(3) 還元される物質:Cu²⁺
第9問【電池】
次の電池について答えよ。
Zn | Zn²⁺ || Cu²⁺ | Cu
(1) 負極の反応式を書け。
(2) 正極の反応式を書け。
(3) 電子の流れる向きを答えよ。
【解答】
① どちらが酸化・還元か考える
イオン化傾向
Zn > Cu
→ Zn の方が電子を失いやすい
つまり、
Zn が酸化(負極)
Cu²⁺ が還元(正極)
② 各極の反応
(1)負極(酸化)
Zn → Zn²⁺ + 2e⁻
(2)正極(還元)
Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu
③ 電子の流れ
電子は
Zn → Cu
(負極 → 正極)
まとめ
・負極=酸化
・正極=還元
・電子は負極から正極へ流れる
第10問【過酸化水素】
H₂O₂中の酸素の酸化数を求めよ。
また、次の変化は酸化か還元か答えよ。
(1) H₂O₂ → O₂
(2) H₂O₂ → H₂O
【解答】
① まず酸化数を求める
H は通常 +1 と考える。
H₂O₂ を式で表すと
2(+1) + 2x = 0
2 + 2x = 0
2x = -2
x = -1
答え
H₂O₂ 中の O の酸化数は -1
※通常の水(H₂O)では O は -2 なので、ここがポイント。
② 変化の判定
(1) H₂O₂ → O₂
O の酸化数
-1 → 0
酸化数が増えている
→ 酸化
(2) H₂O₂ → H₂O
O の酸化数
-1 → -2
酸化数が減っている
→ 還元
まとめポイント
・H₂O₂ の O は -1(例外)
・-1 → 0 は酸化
・-1 → -2 は還元
・H₂O₂ は酸化剤にも還元剤にもなる
第11問【総合】
次の反応で酸化される物質と還元される物質を答えよ。
2Fe³⁺ + Sn²⁺ → 2Fe²⁺ + Sn⁴⁺
【解答】
① 酸化数を確認する
まず、それぞれの変化を見ます。
Fe³⁺ → Fe²⁺
+3 → +2
酸化数が減っている
→ 還元
Sn²⁺ → Sn⁴⁺
+2 → +4
酸化数が増えている
→ 酸化
② 答え
酸化される物質:Sn²⁺
還元される物質:Fe³⁺
③ 酸化剤・還元剤も確認
Sn²⁺ は酸化される
→ 相手を還元させる
→ 還元剤
Fe³⁺ は還元される
→ 相手を酸化させる
→ 酸化剤
まとめポイント
・酸化数が増える=酸化
・酸化数が減る=還元
・酸化剤は自分が還元される
第12問【発展】
次の反応について答えよ。
2KMnO₄ + 5H₂C₂O₄ + 3H₂SO₄
→ K₂SO₄ + 2MnSO₄ + 10CO₂ + 8H₂O
(1) Mnの酸化数変化
(2) Cの酸化数変化
(3) 移動した電子の総数
【解答】
① Mn の酸化数
KMnO₄ の Mn
+1 + x + 4(-2) = 0
x = +7
MnSO₄ の Mn は +2
よって
+7 → +2(還元)
1個あたり 5電子受け取る
式では Mn は 2個あるので
5 × 2 = 10電子
② C の酸化数
H₂C₂O₄ について求める。
2(+1) + 2x + 4(-2) = 0
2 + 2x – 8 = 0
2x – 6 = 0
x = +3
CO₂ の C は +4
よって
+3 → +4(酸化)
1個あたり 1電子失う
式では CO₂ は 10個
つまり C は10個分
→ 1 × 10 = 10電子
③ 電子の総数
Mn 側:10電子受け取る
C 側:10電子失う
一致する。
答え
(1) Mn:+7 → +2
(2) C:+3 → +4
(3) 移動電子数:10個
まとめポイント
・MnO₄⁻ は +7
・シュウ酸(H₂C₂O₄)の C は +3
・電子数は「係数込み」で数える
この問題は共通テスト・私大で非常に重要です。
13. まとめ
酸化還元の本質は
電子のやりとり
これだけです。
・電子を失う → 酸化
・電子を受け取る → 還元
・酸化数増加 → 酸化
・酸化数減少 → 還元
ここを徹底理解すれば、酸化還元は得点源になります。


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